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盛り土の規制を強化する宅地造成等規制法改正案が1日、閣議決定されました。都道府県などが規制区域を指定し、造成は許可制とします。土地の用途にかかわらず全国一律の規制を設け、罰則も強化し2023年夏の施行を目指します。違法な盛り土による被害を防ぐ狙いですが、地形調査など自治体の負担が増す可能性が懸念されます。円滑な運用に向け、具体的な指定基準づくりが求められています。
2021年7月に起きた静岡県熱海市の土石流災害では、不適切に造成された盛り土が被害を拡大させた可能性が高いと考えられています。現状、土地の用途や場所によって森林法や農地法、自治体の条例など規制の根拠や内容が異なっており、制限の緩い場所を探して建設残土が処理されているといった指摘がありました。
このため改正案は宅地造成等規制法で土地の用途にかかわらず一律で規制し、名称を「盛土規制法」に改めます。無許可造成のほか、危険な盛り土に対する改善工事などの是正措置命令に違反した場合の罰則も強化します。現行法は法人、個人を問わず「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」とするが、個人は「3年以下の懲役または1千万円以下の罰金」に引き上げ、法人では罰金3億円以下と改定します。
都道府県や政令指定都市は今後、森林や農地などの地形や地質の調査を担います。人家に被害が及ぶ可能性があると判断すれば、規制区域に指定。排水設備や擁壁の設置など安全基準を満たした場合に限り、盛り土造成や残土処分を許可する方向です。